
今年は大学入試に英語の民間試験導入についてのニュースをよく見かけますよね。
結局、2019年11月1日に、大学入試に英語の民間試験導入を2020年4月から検討をしていたもの5年間見送りすることが決まりました。
目次
大学入試での英語民間試験導入についての現状
現在のセンター試験に代わり「大学入試共通テスト」を新たに実施することになっています。
英語の民間試験は、この新テスト導入の柱の1つとしてされており、ベネッセや日本英語検定協会など6つの事業者による検定試験が実施される予定でした。
しかし、11月1日に突然、導入について5年間は先送りすることの決定を発表されました。
今回の民間試験実施の見送りをする方針を固めた理由には、異なる民間試験を取りまとめするためには受験に必要な共通IDが必要で、その共通IDデータの手続きの混乱をきたすであろうということが公にあげられています。
しかし、この民間試験導入をめぐっては、いろいろ問題や不満があがっています。
・難易度の異なる試験合否判定に使うことは難しい、と大学側からの指摘
・受験料などの費用負担が大きいこと懸念
・試験詳細情報がなかなか公表されなかったことへの民間試験事業者側からの不満
Twitterでも「ババを引かされたのは受験生」「文科省とベネッセの癒着関係が見え見え」と批判がたくさん上がりました。
50万人の受験生に衝撃が走った英語民間試験の延期。文部科学省を取材する私たちは こう思いました。「どうしてこんな政策を官僚たちは推し進めたのか、絶対明らかにしたい」https://t.co/17f2n1Fpqk
— NHKニュース (@nhk_news) November 7, 2019
文科省とベネッセ、ここまでズブズブだったのか。
文科省次官・内閣府・安倍政権の教育再生実行会議の有識者らが堂々と天下っている。民間試験の活用を議論した文科省「検討・準備グループ」はベネッセ関係者ばかり。公的な大学受験を民間に委ね、利益誘導を図る。なんと分かりやすい癒着構造だろう。 https://t.co/kDtoiL06GN— 盛田隆二 (@product1954) November 7, 2019
民間試験業者側がこれをいい機会にお金儲けをしたい!という雰囲気は、第三者の私でも見え見えでした。
英語民間試験導入の経緯
そもそも英語民間試験導入の経緯について良く知らなかったので、調べてみました。
英語の民間英語試験活用は、センター試験に代わり大学入学共通テストが導入されることによる入学制度改革によって決まりました。
民間試験への期待は、「読み」「書き」を中心にした試験から「聞く」「話す」も入れて4技能の力で判定をする試験という点です。
「読む」「書く」「聞く」「話す」4つの技能を全体的に伸ばす英語の授業展開を狙ったものと言われています。
自民党の下村・元文部科学大臣も長野市で記者団に大学入学共通テストへの英語の民間試験の導入について下記のように回答をしています。
「中学・高校で6年間英語を勉強しているのにしゃべれないのは何なのかということが本質的に問われ、読む・書く・話す・聞くの4技能を入試に入れることを文部科学大臣の時に決めた」(引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191104/k10012163831000.html)
2017年に7月に文部科学省から公表された「大学入学共通テスト実施方針」内の英語試験については、急速な社会構造の変化の中で新しい価値を創造していく力を育てることが必要と書かれています。
具体的には、グローバル化が急速化していて、英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっているので、「聞く」「読む」「話す」「書く」の 4 技能を大学入学者選抜においても適切に評価する必要がある状況。
現行のセンター試験では「読む」「聞く」の2技能しか測れず、今すぐに国で4技能試験を実施は難しいから民間試験活用を検討したということです。
英語民間試験活用の問題点
英語民間試験活用の問題点についても、ニュースで少しかじったくらいに理解をしていたので、改めて調べてみました。
東洋大学が公開している学術論文に、英語民間試験活用の経緯から、活用の問題点について考察している論文がありましたのでそちらからポイントを紹介します。
・学習指導要領と合致しているのか
・そもそも入試で4技能評価をする必要性があるのか
・異なる民間試験をCEFRで適切に対照評価できるのか
・地域、家庭状況の格差
実際に現場に直面している先生や受験生たちの反応はどうでしょうか?
東洋大学の論文で教育現場でのアンケート結果がまとめられていましたので、そちらを参考に紹介します。
先生たちの反応

生徒たちの反応

先生も生徒も、不安でしかない!ということがアンケートから読み取れます。
小学校に英語の授業導入がされることが決まった年に、当時小学校の先生をしていた友人から英語学習について相談をされたことを思い出しました。
学校を卒業して以来英語なんてやったことがないのに、いきなり英語の授業をしろって言われても困る…。
英語喋れないのに何を教えろというの?
と何度も何度もグチをこぼしてました。
活用を検討された民間試験一覧
検討をされた試験は、独立法人大学入試センターHpに一覧が掲載がされています。
ケンブリッジ英語検定
IELTS(アイエルツ)
TOEFL iBTテスト(トーフル アイビーティ)
TOEIC(※7/2に参加を取り下げ表明)
GTEC(ジーテック)
実用技能英語検定
TEAP
上記の民間試験の結果をCEFRと照らし合わせて、英語力を決めるというのが検討をされていました。
CEFRとは?
ではそのCEFR(セファールと読みます)とは何でしょうか?
外国語を使ったコミュニケーション能力を測る国際基準の「ものさし」です。
最近になって日本でも導入されるようなり話題になっていますが、欧州議会で20年以上にわたり研究をされて、2001年より正式に活用をされているものです。
その後は活用が広まり現在では38言語にわたりその参照枠が活用されています。
(引用:https://www.britishcouncil.jp/sites/default/files/ees-cefr-jp.pdf)
民間試験一覧の中には、名前は聞いたことはあるけど…と馴染みのないものが含まれていますので民間試験の内容について調べてみました。
TOEICと実用技能英語検定は、以前記事にまとめましたのでこちらを参照してください。
ケンブリッジ英語検定

ケンブリッジ英語検定とは、イギリスの名門ケンブリッジ大学によって1858年に設立された英語検定です。
日本ではあまり知られていませんが、ヨーロッパを中心に世界130か国年間500万人が受験をしています。
受験級は「A2 Key」(キー)、「B1 Preliminary」(プレリミナリー)、「B2 First」(ファースト)、「C1 Advanced」(アドバンスト)、「C2 Proficiency」(プロフィシエンシー)の5つです。
受験時間はA2レベルで約2時間、最長はC1レベルで約4時間となり、試験時間が長いです。
また受験費用は1万円~2万円後半と高めです。
IELTS

IELTS(アイエルツ)はブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTS オーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構の三団体で共同運営されており、主にヨーロッパ方面・オーストラリアへ留学する人の受験が日本では多いです。
大学や大学院入学のためのレベルチェックにはアカデミックモジュール、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの移住申請をされる方はジェネラル・トレーニング・モジュールを受験する必要があります。
テスト結果は1.0から9.0までのバンドスコアでの評価で、合格・不合格はありません。
受験費用は25000円程度、受験時間は2時間40分です。
TOEFL iBTテスト

TOEFLは1964年に英語を母国語としない人々の英語力を測るテストとして、米国非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)により開発されました。
インターネット版TOEFLEをTOEFL iBTテストと呼んでいます。
世界中で受験されている、英語運用能力テストのリーダー的存在です。
試験問題は、TOEICの問題も作成している米国非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)が開発しています。
TOEFL iBTの結果は合格・不合格でなくスコアで表示されます。
受験時間はおおよそ4時間、受験費用はおおよそ25000円程度です。(日本円ではなく、費用がUSドル表記)
GTEC

GTEC(ジーテック)はベネッセが1998年より設立した中学・高校生対象のスコア型英語試験です。
リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4技能の英語力を、スコア型の絶対評価で測定します。
英語の習得状況に合わせて4つの受験タイプが用意されています。
試験時間は受験タイプにより、約100分~180分程度。
受験費用は1万円程度です。
TEAP

TEAP(ティープ)とは上智大学と日本英語検定協会が共同で開発した試験です。
大学教育レベルにふさわしい英語力を測るうえで適切な内容となっているとのことです。
試験結果はスコアとCEFRによるバンドでフィードバックされます。
高校2年生以上が年3回まで受験が可能で、2017年には25500名の受験者がいたようです。
試験時間は約3時間、受験費用は15000円です。
各試験の詳細についてはこちらの「大学入試英語成績提供システム」に参加予定の資格・検定試験要一覧をご参照ください。
各民間試験のCEFRとの対照表
民間試験の結果をCEFRへ照らし合わせる対照表は以下の通りです。
(引用:http://4skills.jp/qualification/comparison_cefr.html)
結局のところどの民間試験がいいの?
結局のところどの民間試験がいいのか、ちょうど2019年冬に大学受験をする子供をもつ私の同級生ママさんたちの意見を聞いてみました。
英検を受験させると意見が圧倒的に多かったです。
理由としては、ママさん自身が受験した経験もあるから馴染みがあること、そして指導をできる塾・先生が多いからというものでした。
目標の英検に合格をすると合間を縫ってTOEICを受験するお子さんもいるようです。
あとはGTECを受験するというのもチラホラと耳にしました。
TOEICについては、大学に入ってから就職活動に必要となってから受験するという判断のようです。
受験生が入試で利用した民間試験の比率表がありましたので、参考までに。
(引用:https://jp.surveymonkey.com/results/SM-XSTZTMBRV/)
因みに英検の受験級は準2級、2級、準1級の3つ多いようでした。
試験対策本の豊富さ、試験内容の情報の豊富さ、受験会場の多さ、から考えてみても英検を受けるのが妥当のように思います。
文部科学大臣 萩生田氏からのメッセージ
(引用:https://www.youtube.com/watch?v=6Q8iH5nW5LM)
あまりに混迷をした今回の導入について、受験生・保護者向けに文部科学大臣 萩生田氏からがメッセージを発信しました。
そこには導入を延期したこと、5年後から実施に向けて2020年中に結論を出すことが書かれており、最後には時代の流れとしては読む・聞く・話す・書くといった英語4技能をバランスよく身に付けて欲しい件が記載されておりました。
まとめ
英語民間試験2020年4月からの実施を見送りについて発表になったので、その経緯と内容についてまとめてみました。
導入時期に対して結局こういった発表が遅かったため、かなり受験生には迷惑をかけたというのが私の印象です。
CEFRでの世界基準を取り入れるという発想は良かったと思いますが、教育現場との現状とはかけ離れた内容となっているたように感じました。
実際の導入に向けて2020年中に詳細を検討していくとのことでしたが、今回浮き彫りになった問題点を踏まえて、とにかく受験生に負担にならない方向で決まっていくといいですね。
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